これまでの4つのアニメを、家族構成、家の特徴において比較すると、
“サザエさん”、“ちびまる子ちゃん”においては、2世帯同居の大家族平屋の日本家屋、
“ドラえもん”においては、一人子の核家族、子供部屋が確立された2階の一戸建、
“名探偵コナン”においては、究極の分散家族、生活感のない大豪邸となっている。
家族構成 | 家の特徴 | その他 | |
---|---|---|---|
サザエさんの家 | 二世帯同居 大家族 妻方同居 |
平屋建 カツオ・ワカメ同部屋 |
・ニワトリを飼っている庭 ・理想とする家族像 |
ちびまる子ちゃんの家 | 二世帯同居 大家族 |
平屋建 まる子・姉同部屋 |
・ほのぼのとした家族関係 |
ドラえもんの家 | 核家族 一人子 + ドラえもん |
2階建 2階専有子供部屋 |
・子供にとっての夢の実現 |
名探偵コナンの家 | 家族別居 分散家族 |
大豪邸 生活感全くなし |
・家族崩壊 |
つまりアニメの原作者にとって、物語の中で展開したい内容、見せ場を考えたとき、
そのシーンに最もふさわしい舞台設定として、主人公の住んでいる家の間取りは大切なポイントとなっているようです。
家族、御近所、学校での日常の出来事の中で、様々な人間関係を平和に美しい日本的情緒の中で展開するときには、
平屋の日本家屋が最も望ましい間取りであるようです。
核家族化の中で、子供が父親よりも大切にあつかわれるようになった時代になると、
子供にとって最も都合が良い舞台設定として、兄弟代わりのドラえもんと夢をかなえる魔法のアイテムによって
親にかくれてワルサの出来る独立性の高い子供部屋がフィットしているようです。
コナンにおいては家族が分散しているため、全く生活感のない大豪邸を設定したのではないでしょうか。
アニメの世界における例を考えてみましたが、おそらくその他の作品、映画、ドラマにおいても同じことが考えられます。
街づくり、家づくりにたずさわるものとして、ライフスタイルが間取りに密接な関係があることは重要なポイントとなります。
言いかえると、街や家のつくりはそこに住む人のコミュニケーション、人間関係やライフスタイルの構築において、
大きな影響をもたらすことになるのではないかということです。
旧来からの家相や最近ブームの風水のように、間取りによっては家族のコミュニケーションや心の健康を大きく左右する要因にもなります。
次回のTMコラムにおいては、“子供の問題行動と間取りとの関係”において、
現代社会の大きなテーマでもあります子供の心の健康について考えていきたいと思います。