かつての道は、コミュニティの場であり、子供の遊び場でした。車社会が進展し、いつの間にか車中心の街づくりばかりを考えるようになりました。しかし、人が歩いて楽しい街、人が歩いて美しい街、歩くことが何よりも安全な街であることが、本来の姿ではないでしょうか。
道空間を再度コミュニティの場として復活させることが、今後の街づくりを考える上で必要です。
無意味な通過動線を排除し、「訪問者」と「住民」の判別が容易な道空間とすることが大切です。
コミュニティ単位が明快で、安全で、歩いて楽しい美しい道を、中庭的道空間と考えます。
中庭的道空間の事例として、成功した街並みを紹介します。
戸建団地に共有庭、路地を持つことにトライした先駆的な街が神戸にあります。
20年近く経った中庭的道空間も立派に手入れされており、日本においてコモン的道空間が市民レベルで管理されている代表例といっても過言ではありません。20年の歳月が緑を育てると同時に、街のコミュニティを育てたであろうことが、写真からも読みとれます。
パークスクェア神戸南鈴蘭台にて
TOM-Research作品集より
TOM-Research作品集より
金太郎飴のような、全国どこへ行っても画一的な道空間となっているのが現状です。この街は、道空間を積極的にデザインする計画戸建てとして、新たな可能性を見い出した街です。ロータリー広場のシンボルツリー、道広場、路地、豊かな舗装バリエーション等、個性的な景観を創出しています。道沿いの手入れの行き届いた外構、植栽は中庭的道空間と呼ぶにふさわしい、楽しく美しい景観となっています。
阪南スカイタウンにて
TOM-Research作品集より
TOM-Research作品集より
日本でも前例がほとんどない民間団地での建築基準法86条の1団地認定による街づくりです。
無電柱の緩やかな曲線で構成され、インターロッキングで舗装された表情豊かな道空間が実現しました。
コンパクトではあるが、一体的にデザインされた道路、公園、建物、協定緑地は、通過交通が一切ない、中庭的道空間となっています。
東岸和田にて
TOM-Research作品集より
TOM-Research作品集より