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TOP > TMコラム > 第3回 日本家屋と心の関係 その2 壁に耳あり障子に目あり

建築家高橋馨一級建築士によるコラム「TMコラム」

Vol.3 日本家屋と心の関係

壁に耳あり障子に目あり

日本の家屋の構造であればこその例えです。
日本人は居酒屋でも銭湯、温泉においても、あまり仕切ることを望んでいないようです。
居酒屋においては、隣との席を簡易なついたてやすだれで仕切りますが、隣の声は丸聞こえ、立てば丸見えです。一応聞こえないこととする、見えないこととするといった暗黙の了解があります。
銭湯においても、法律で混浴が禁止されても長年そのままの状態を続け、男女の仕切りが出来たのは近年になってからです。旅館の部屋には鍵がなく、温泉地に行けば男女混浴はたくさん残っています。
長屋生活においては、隣の夫婦が仲が良いか冷戦状態にあるか、隣のおやじが酒ぐせが悪いかどうかぐらいは、隣近所の奥さん仲間では周知の内容でした。

障子

大阪の長屋
(寺内信 INAX)

本来私達は完全な個室よりも、みんながワイワイガヤガヤしている一体感を望んでいるのではないでしょうか。
日本にはお花見、お祭り、新年会、忘年会等、みんなで楽しむイベントがたくさんあります。
個を確立しながらプライバシーを守るよりも、仕切ったふりをしながら孤立感を感じないでいることを望んでいます。個として生きていくことの不安感やたよりなさを奥深いところで感じており、できるだけそれらを薄めることの工夫をしてきたようです。 誤解を恐れずに言及すると、最近の個人情報保護法案の行きすぎた解釈やそれに過剰に反応している風潮、学校OBの卒業名簿も作れない状況に、少なからず違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
これからの住まいにおいては、仕切ることと繋ぐことを巧みに組合せながら、私達のDNAにマッチしたものを追求していく必要があります。
明治以降、日本は欧米を真似したけれど、どうもしっくりきていない。ちょっと遠回りしたけれど、私たちが古来から大切にしてきた人間関係であるとか、間合いの取り方とか、自然との関わりにおける万物の生命を大切にする考え方等を、素直に表現した家やランドスケープが求められているのではないでしょうか。
そしてその考え方は21世紀の地球環境を考える上でも、日本人としては最も古く世界では最先端のコンセプトとなるのではないでしょうか。

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