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TOP > TMコラム > 第4回 アウトソーシングと近代化 その2 生活のアウトソーシング

建築家高橋馨一級建築士によるコラム「TMコラム」

Vol.4 アウトソーシングと近代化

生活のアウトソーシング

生活においても、都市化、近代化の中で、アウトソーシング花盛りです。料理、洗濯、掃除、裁縫、教育、躾、子育てに至るまで、本来家庭内で行なっていたものの外部委託が急激に広まりました。

1)食事・料理

卓袱台ちゃぶだい ではなくダイニングテーブルで食事をすることに一種の憧れも手伝って、朝は「パン食」がかっこいい。インスタント食品に対して抵抗するというよりも文化生活のシンボルの一つとして普及してしまいました。結果として、お袋の味までインスタント化したのです。最近ではレトルト食品、冷凍食品、下ごしらえがすんでいる魚や肉、無洗米に至るまで、1960年以降食卓の風景は大きく様変わりしました。外食産業においても、ファーストフードだけでなく多岐に渡っており、挙げ句の果てに、家庭料理を売り物にするレストランまでできました。以前朝食は家族全員同じ物を食べていたのに、「パン」がいい「私はご飯」と食べる物もバラバラになりました。まるでホテルの朝食バイキングのようで、“いただきます”で始まるかつての朝食の風景はほとんどなくなりました。夕食もお父さんは遅くまで残業で、子供の塾の時間や見たいテレビに合わせて子供だけ先に食べさせる母親も珍しくなくなりました。

ちゃぶ台・ダイニングテーブル

2)教育・育児・躾・伝承

お節料理 お節料理

教育においては、塾、家庭教師、野球、サッカー教室、その他の習い事ほとんどすべてにおいて、アウトソーシングがなければ成り立たなくなっています。育児のサポートにおいても、特に少子化問題や女性の社会進出と合わせて、国策として整備すべき課題です。母から娘、父から息子への伝承もほとんどなくなってしまいました。お せち もアウトソーシング化され、スーパーや百貨店ですませることが当り前になりつつあります。

3)冠婚葬祭・出産

元服、結婚、葬式、祖先の祭り、これらはかつてはすべて家族中心で、家族、親戚、隣組が企画、立案、実行する家が舞台となる大きなイベントでした。長老の出番も、このようなイベントにおいてはたくさんありました。しかし現代社会において、これらはほとんどすべてプロのイベント産業にアウトソーシングされてしまいました。手作りの個性的な結婚式を売りにするブライダル産業も伸びているようですが、結果的にはすべて御膳立てされていることにはかわりなく、錯覚しているだけです。
出産も、かつてはお産婆さんが家に来て、家族が産湯やタオルその他の手伝いをする家族の一大イベントでした。お父さんはうろうろするだけ。子供にとっても自分の弟や妹が生まれるイベントは貴重な経験で、ここでも家族、親戚の経験者がサポートすることで初めて成立していました。
家で臨終を迎えることもほとんどなくなりました。家族の死を家で迎えることは、その一生の様々な思い出のシーンの大半が家であること。最期の別れの時に、家族が周りにいる背景が願わくは家であることが望ましいと思います。葬式も今ではほとんど家で行なわれなくなり、どのお葬式に行っても同じようなメモリアルホールで同じような手順で行なわれ、そのシーンがほとんど同じように記憶されていくことは寂しいことことです。
家族の家でのイベントがどんどん失われています。

 

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